原書房から出版されている件名の本を借りて読みました。
一見地図やグラフがあって読みやすそうではありますが、世界中の各種団体や組織名が多く読んでいてもなかなか頭に入ってきません。
【人口】
世界の人口は2018年に76億人、2030年に85億5000万人。
2050年に97億7千万人、2100年、111億8000万人と予測されているそうです。
しかし、1970年代に毎年2.07%だった人口増加率は現在1.08%に過ぎない。
世界の合計特殊出生率は1980年に3.6人。2015年には2.4人。現在2.05人そして2100年には1.9人になると予測しています。
出生率が低下する原因は経済発展、性の教育振興、女性の社会進出、
衛生状態の良好。乳幼児死亡率の低下、農業の生産性の改善に伴う食生活の向上
などにより乳幼児死亡率が低下するため、出生率が低下する。
出生率が低下しても乳幼児死亡率が低下するなら増加率はあるていど維持される。
2100年には世界の人口が35億人くらい増えるわけですが、EUや中国、韓国、日本は増えない。
10年後でも10億人くらい増加するが、果たしてエネルギー、食糧、水を確保できるのか?それは後程触れられますが、獲得競争により価格が上がる事は不可避でしょう。
日本はエネルギーの殆どを輸入に頼り、再生エネルギーも極小であるためエネルギー確保は難しいと思われます。
石炭を高効率で発電するのが現実的ですが、CO2削減を目指すとそれもできない。
日本は水は潤沢だと思っていましたが、実は輸入される食糧を育てるために海外の水を使っているため、間接的に水を輸入しているとも考えられるようです。
そうすると水の輸入シェアが30%近くになるそうです。
アフリカ南部は水不足地帯なのでここで人口が増加すると不足が加速する。
日本の水源が中国に買われているとか、ボルビックの水源が枯れているという噂も聞きます。
公園の水道を直接飲めるのは世界で日本だけだという話を聞いた事があります。
それが当たり前だと思っている日本人は来るべき水資源争奪戦を勝てるでしょうか。
後40年で世界の人口においてヨーロッパの比重は減少、北アメリカは微増。
今後増えるのはアフリカ、ラテンアメリ、カカリブ海地域、発展途上アジア国。
特にインド、インドシナ、ナイジェリア、コンゴ、パキスタン、エチオピア、タンザニア、ウガンダ、インドネシア、ブラジルの9カ国。
いずれも発展途上国が多いです。これらの国で人口を増加させる資源が維持できるのでしょうか?疑問です。
これらの国が発展した場合、日本人からすればアフリカ南部や中央アジアは馴染みが無く、人口オーナスを取り込むことは難しそう。ヨーロッパの植民地であった国が多いので、欧州が取り込む事になるのでしょうか。
ブラジルは距離が遠いし、インドも人種差別や文化が相当異なる。
日本からすれば文化、距離てきにインドネシアくらいが進出できそう。
1950年の世界の人口に占める60歳以上は8%。2060年には22%になる。
現在世界人口の年齢中央値は30歳→1050年には36歳。
日本はもうすでに47歳→2050年には53歳。
現在50代半ばで定年後の生活設計をしている自分の体力や知力、保守的な考えから想像すると中央値が50代半ばになると経済成長は難しいと思わざるを得ません。
【保健衛生】
保健衛生に関する持続可能な開発のための2030アジェンダでは「あらゆる年齢のすべての人々に健康的な生活を保障し福祉を促進する。」事が目標とされている。
保健衛生を対象にするのは目標NO3のみであるが。実際には167のターゲットの約半分が保健衛生関係。
発展途上国における保健衛生の状態の改善という課題があります。
2016年には30万人の女性が妊娠や合併症で死亡。
5歳未満で亡くなる子供の数は590万人。
HIV で200万人。マラリアを患っている人は約2億人。これでは元気に働いて社会に貢献する事は難しく、社会的損失が大きいですね。
430万人が炊事用燃料による空気汚染。300万人が大気汚染でなくなっている。
これって屋内の酸欠とか有毒ガスって事でしょうか。そんな密閉された家屋があるの?
アメリカ合衆国の子供の死亡率は OECD 加盟国のなかでも最も高い部類。
アフリカ系アメリカ人を両親に持つ子供たちの5歳前に死亡する確率は、両親が白人の子の2倍。
世界で最も豊かな先進国でさえ乳幼児の医療を満足に受けられない現実を見ると、世界に等しく医療を提供するなど100年かかるのではないか?
全世界で医療の専門家が720万人不足しており、1035年までには1200万人が不足する。
日本女子医大の入試で女性が差別されている事が発覚したが、女性の医師を増やさないと医師全体の数は増えないだろう。
しかし、これ以上医師が増加すると健康保険や国民医療費が持続不可能という気もする。
保健衛生を向上させるには、教育を受ける機会。衛生知識を得る機会。質の高い栄養の摂取。労働条件生活環境水質が必要との事。
【食料】
成人の肥満率は1975年から2016年にかけて徐々に増加しているが、最近10年間
は速度が早まって増えている。
飢餓は解決されたが、カロリーが非常に高くバランスの悪い砂糖・油脂・塩分を使用した加工食品が原因で肥満が増えている。
世界規模で言えば成人の肥満率は2012年の11.7パーセントから四年間で13.2%に増えている。
肥満率が最も低いアフリカとアジアでも上昇している。
中小所得国の都市部で貧困層で激しく上昇して居るアメリカが代表的。
バランスの悪い加工食品のおかげで飢餓から脱出した人々が肥満になっているだけだろう。
私も平日は仕事で外食となるためバランスの悪い高カロリー食ばかり食べている。
多少所得が上がっても外食はどこも同じレベルであり難しい。
勤務先の食堂もお洒落で綺麗な什器やデザインだが、みんなそこでは近くのスーパーで買ったカップラーメンや何が入っているかわからないハンバーグ弁当などを食べている。
【農業】
「極度の飢餓」の定義は、人が死ぬ状態
「食糧難」は人が死なないが栄養不足
20世紀の飢餓は政治的要素と武力紛争で大規模に発生した。
ロシア、中国、ビアフラ、スーダンなど。
2007年からの10年間で、「極度の飢餓」は減少したが栄養不良は上昇した。
主にサハラ以南のアフリカこの地域は一日一人2000カロリー。
栄養不良は、資源不足が原因ではなく資源の配分のされ方によって発生する。
先進国では大量の食品ロスが発生し、発展途上国ではカロリーさえ不足。
現在の農業生産高は世界中の人が食糧難にならないのに十分な生産量。
ブラジルのコーヒーのように国内向けの生産を犠牲にして輸出用作物を優先させる。
貧しい人々が食料買えないのならいくら生産量増やしても彼らの口には入らない。
農業技術の改良は貧しい現地の人のための食物生産でなく、輸出されるコーヒーなどの生産増のため。
食料問題は、農業生産や自然の問題ではなく社会政治の問題。
一部の住民の生計が伝統的な農業に依存しておりこの農業が地球温暖化の影響を非常に受けている。
解決策は食料廃棄を減らすだと思いますが、輸送中の傷みを防ぐには地産地消。加工ロスを減らすには見た目が悪い商品も流通させる。賞味期限切れを寄付。店舗の作りすぎを安価で販売。
外食は予約制にするとか、見た目をあまり気にしないとか、自宅の冷蔵庫をチェックしたり不急の食料を買わないなど消費者努力が必要ですね。
でも食費店は在庫切れさせれないし、共働き世帯が増加すると冷蔵庫のストックも必要。
【エネルギーの現状】
現在のCO2排出割合
中国30%、アメリカ15%、EU10%、中東7%、アフリカ3%
つまり中国とアメリカが批准しなければ排出抑制はできない。バイデンになってアメリカはCOPに復帰したが、中国は火力発電しまくっている。
中東やアフリカも化石燃料に依存している。
1990年~2014年で世界の co2は58%増した。
25年で58%増、この増率でいけば2030年に更に5割増加してしまう。
年間一人当たり co2排出量。
中国7.5t、ブルキナ0.2t、カタール45t。この不公平を是正せずに全体的にCO2対策を行っても効果は望めないようにおもう。