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終戦記念日

終戦記念日

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終戦記念日


※ 朝日新聞の記事からの転載です。
「キメラ-満州国の肖像」京都大学山室信一
1980年に山縣有朋が主張した「主権線」と「利益線」の考え。
資源のない日本が発展するには、国境の外側に利益線という
勢力圏を形成して資源の安定確保が必要。

日清戦争の頃から戦争は「総力戦」となり資源を確保しなければ
総力戦には勝てなくなった。

当時日本最大の仮想敵国はロシア。
ロシアは常に南下政策をとり、朝鮮半島を窺っていた。
朝鮮半島を占有されると目と鼻の先は日本であり、大陸への
足がかりが無くなる。
また、日露戦争の復讐を恐れていた。
だからドイツと同盟を組んでロシアをけん制しようとした。

また、総力戦を維持するため東南アジアで確保した石油等の
資源の返還を求める欧米とも戦争しなければ総力戦ができなくなる。

アメリカが日本や中国と行った経済封鎖を見れば、当時の
欧米が資源封鎖をしたことを見ると欧米が経済戦を戦略的に
使うのは同じに見える。

余談だが、日本は短期決戦と講和を目指して開戦して失敗した。
当時海軍は開戦に否定的、陸軍は満州権益もあり主戦派。
当時の知識人や政権、軍部中枢は日本がアメリカに勝てるとは
考えていなかった。
ハワイを打撃すれば数カ月はアメリカの太平洋艦隊は再建できない。
その間に太平洋圏を電撃支配して有利な条件で休戦に持ち込む計画だった。
しかし、世論やメディア、軍部の主戦派により安易な妥協講和が認められる雰囲気
にならず戦線拡大となってしまった。

日露戦争で戦争補償が少ないと小村寿太郎が世論から叩かれた事や、
青年将校を中心とした軍事革命のリスクもあり
戦線拡大が止めれなかった。

明治の元勲、陸軍の帝王と言われた山縣有朋の理論がベースとなっている。
山縣有朋長州藩出身の吉田松陰門下生を自称し、明治維新に参加している。
また下関戦争で欧米に敗戦し、富国強兵の必要性を強く感じている。
つまり、先の大戦明治維新によって運命づけられたのかもしれない。
欧米からの脅威により開国したのが明治維新であり、欧米の脅威に対抗する
事を目的に富国強兵を行ったのが明治なのだから、富国強兵をすすめる
ためには資源確保や軍事増強は当然の結論とおもわれる。
つまり欧米の脅威が日本を最終的に第二次世界大戦へ導いたと言えないか。
これによって日本の戦争責任を回避しようとはしない。
「善い」「悪い」ではなく、物理の法則の如くさけれない人間の性ではないか。
「善悪」の基準は社会や時代によって変遷する、戦争が犯罪となったのは世界大戦
の頃からであり、それまで侵略や戦争は国家の本能であり優位性の証明であり、
問題を解決する最終手段であったと思われる。

歴史は勝者の都合のよいように後世に教育される。
勝者とは戦勝国の事であり、戦争をして勝たなければ自国に有利な世界観を形成
できない。
昨今の米中対立が、自由主義覇権主義の世界観争いも同じだろう。

中国の台頭に対して英米仏独が南太平洋に艦隊を派遣したように、現代においても
最後は武力による牽制が行われている。
アメリカのイラク進攻理由である「核保有」「大量破壊兵器」「アルカイダ支援」
は全て事実でなく、一方的な破壊戦争となっているのを見ても戦争は国家の本能
であるとの認識は変わっていないのではないか。

さて、先の東京オリンピックの開会式で唯一賞賛されたドローンショーは
1台のPCで1800機のドローンを制御している。
ドローンのメーカーであるインテルは先の平昌でも1200機のドローンショー
を行っている。
既にアゼルバイジャンリビアではドローン兵器が実践投入されており、
オリンピックの場を利用した軍事ショーであるとの見方もある。

近代欧米国家が安易に開戦できないのは、「兵士の死」に対する世論の反対である。
ドローン兵器により自国兵士の死亡が抑止できるAIによる無人戦争が可能となれば
開戦のハードルが下がり、戦争は増えると思う。

トランプを誕生させたロシアのフェイクニュース戦略や、アメリカの石油パイプライン
を停止させたコンピュータハッキングなど、直接流血しない戦争も増加している。

中国の香港やウイグルへの弾圧、ロシアによるウクライナ進攻など国際世論の批判にも
関わらず侵略を止める事はできない。
中国の台湾進攻も現実味を帯びている。

戦後76年を経て世界戦争の記憶が薄れ、戦争自体が無くならない時代になってきた。
戦争を否定しつつも、戦争が不可避ならば「勝つ」或いは最低でも「軍事抑止力」
を持つ必要があるとの意見が多くなっている気がする。

新型コロナ感染数や全国的な大雨警報により21年8月15日の本日、
終戦記念日を特集するTV番組が少ない気がするのは私だけだろうか。

そもそもネットの発展により、若い人はTVや新聞を見なくなっている。
そのTVや新聞が終戦記念日を報道いなければ意識は遠のくばかりだろう。
またネットは比較的に先鋭化した保守派の意見が多いような気がする。
一方で左翼寄りである朝日は新聞やTV媒体であり今後も縮小しそうである。